わだかまる。
漢字で書くと「蟠る」。
わだかまるとは、心に不平不満を残すことを云うけれど、本来の意味は、蛇がとぐろを巻くことなのだそうだ。
蛇の祟り…なんて昔話も多いけれど、蛇と云うのは何かとわだかまりがちな、執念深い生き物なのかもしれない。
悪魔サタンは、蛇の姿でイブに知恵の実を食べるようそそのかしたと云う。
サタンも神に反旗を翻した元天使なのだから、やはり神に対してわだかまるものがあるのだろう。
なぜ蛇がとぐろを巻くかと云えば、それはその方が安心で安全だから、と云うことだ。
伸び切ったままの細長い姿では外敵に対して不用心である。身体をコンパクトに纏めた方が安全なのだ。
また、身体が何かに密着していると安心するのは人間だって同じであろう。
僕らが普段何気なくする腕組みなども、実はその端緒であったりする。
わだかまる=とぐろを巻くと云う行為は蛇が自分の身を守るうえで、非常に大事な手段であるのだ。
同じように、僕らの中のわだかまりも案外必要なことなことなのではなかろうか。
多少残した恨みやつらみも、自分を守るための方策なのだ。
無理やりほどいたり、気に病み過ぎる必要はない。
わだかまるべきものはわだかまって、そして少しずつほぐれていけば良い。
蛇が神話や伝説のモチーフになるのは執念深さからだけではない。
何度でも脱皮する=生まれ変わることが出来るからなのだ。
蛇とは、生命と再生と、そして豊穣の象徴でもある。
心の中で巻いたとぐろは、僕らを守り、また何度でもやり直せることを教えてくれる。
ほぐれてしまえば、ほらニョロニョロニョロ。
蛇はしなやかで力強く縦横無尽に移動ができる。
心もまた然りであろう。
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