2019年7月30日火曜日

古いスケートボード







父ちゃん、スケボー買ってくれよ!

バッキャロウ。これで我慢しろ!


そんなやり取りが聴こえてきそうな、
手作り感いっぱいのスケートボード。

カットした杉板に、
ウィールを付けただけ。

70年代を思わせる形状。

気分はもうZボーイズ!

奇しくも静岡のカリフォルニアと呼ばれる街にて入手。

このシェイプから推察するに、制作もやはり70年代?






はてさて子供、

うわ〜い、やった〜!と言ったのか、

こんなんじゃないやい!と嘆いたか


物語りの真相は秘めたまま。

ものはただ静かに鎮座して、
ときたまウィールをくるくる回す。

































2019年7月27日土曜日

黒くて小さな天使






蚊が嫌いである。

蚊が嫌いでない人間なんて、そうはいないだろうが、僕の場合は極端に、大嫌いであるのだ。

そんなに蚊に食われる体質でもないくせにこの嫌い方はちょっと偏執的な気もするが、もしかしたら前世あたりがマラリアで命を落とすなど、そういう宿怨があるのかもしれない。

奴らも不快な羽音を立てたり、わざわざ痒くしたりしなければ、こんなに恨まれることもないだろうと思うのであるが、それだけでない。蚊はマラリアやデング熱など各種感染症を媒介する人類にとって最大の仇敵でもある。

もしかしたら蚊にその気はなくても人体のほうが敢えてアレルギー反応を起こし、吸われた箇所を痒くしてみせることで蚊への忌避や嫌悪感を促しているのかもしれない。痒くならなければ血を吸われることに無警戒になってしまうから。羽音も同様、不快に聴こえるよう人体があらかじめプリセットされているのかもしれない。


さて、ときに何のために存在するのか分からないなんて言われる蚊であるが、やはり何かしらの役割りを担っているのだろう。とはいえ実験的に行われた一部地域での試験では特定のエリア内の蚊を根絶させても生態系への影響は特になかったとのデータもある。

前述したように、史上最も多くの人間を死に至らしめている人類にとっての最大の天敵は虎でもライオンでもなく、蚊である。

仮に生態系への影響がないのなら絶滅させてしまうに如くはなさそうなものであるが、視点を人類主体から地球主体に移してみると、地球にとっての天敵は間違いなく環境を破壊する我々人間ということになる。

ならば蚊は、地球の敵である人類を攻撃し抑制する天からの使いであるとも考えられる。

人間が悪で、蚊が正義の味方。

この暴論もある程度は有用だろう。なぜならいつでも人間が正しいと過信するのも如何なものかと思うからだ。


蚊の正体は天使ということにしておこう。

それではそれで奴らを好きになるかといえばそんなこともなく、日ごろ無益な殺生をしない僕もこと相手が蚊になれば打つ、打つ、打つ。まるで親の仇のように。地の底まで追ってでも仕留めるくらいの執念を燃やしてしまうのが我ながらさもしい。

とはいえ人為的に絶滅させるのが正解とは思わない。やはり何かしらの歪みが出る筈だ。けれども僕と息子に寄ってくる蚊に関しては全力で迎撃する構えである。

ちなみに、ここ葉山では冬でもお構いなしに蚊が出る。よってこの醜い戦いも一年を通じて続けられているのだ。仮に悪魔と罵られようとこの黒くて小さな天使どもとのアルマゲドンは続くだろう。












2019年7月16日火曜日

7/20 Hayama Nature Book Clubのお知らせ




『みんなで月に行く前に』プレゼンツ。
自然を楽しむ読書会Hayama Nature Book Clubのお知らせです。


第2回目のテーマは夏らしく「海」!
海についての専門書、海が舞台のものがたり、海が出てくる写真集や図鑑など、海が感じられるものならどんな本でも結構です。

各自お気に入りの書籍を持ち寄って、気楽なフリートークを致しませんか?
参加者みんなの自然観や海への思いなどをビーチ近くのカフェにて共有したいと思います。


720(sat)
日時:7月20日(SAT)1800 - 2000
場所:ヒマダコーヒー 
参加費:1000円(飲みもの付き)
持ち物:おすすめの海にまつわる本(冊数の指定は特にありません。1冊からお気軽にどうぞ)
ご予約方法:before.go.to.the.moon@gmail.comまで
お名前、メールアドレス、日中繋がるご連絡先、参加人数を明記のうえお申し込みください。

*ご予約なしでのご参加も大歓迎です。本なしでの飛び入り参加も歓迎いたします。

*小腹の空く時間帯での開催です。ご自分用のおやつやお弁当など持ち込み自由となっておりますのでどうぞ“もぐもぐ”しながらお喋りにご参加ください。




2019年7月7日日曜日

ぱさぱさうちわと怖い夏




地元に一本の峠道がある。
夜ともなれば真っくら闇でめっぽう怖い。

また途中にある霊園が、
その不気味さを何倍にもしている。

実際、そこでのそういう体験談も何件か耳にしているが、
それはまた別のお話としよう。

さて、その霊園。
川端康成、山本周五郎、堀口大学など名だたる文士らが眠っているのだが、
作家の丸谷才一もそのうちのひとりだ。

決して多くを読んだわけではないものの、
彼の軽妙な文才と、確かな日本語力には習うところが大きい。

墓碑には丸谷自身による句が刻まれているという。


【ぱさぱさと 股間につかふ 扇かな


これはひどい、あまりにひどい。

必要ないだろうが、いちおう解説をすれば、
暑い夏の日に、股間をうちわで扇ぐ……というたったそれだけのことである。

ワビもサビもまるでない。
よりによって、なぜにこの句

このような洒脱を自分の墓に遺せる文人がいったいどれほどいるのだろうか。

霊園の前を通る時、不気味だな〜なんて思ったら、
丸谷の句をそらんじてみればいい、けっこう楽しい気分になれるはず。


さて7月。
海辺の町にぱさぱさうちわと、怖い話の夏が来た。

体験談を知りたけりゃ直接あって話をしよう。
その手の話は、存外に嫌いでない。