2019年11月11日月曜日

ブラックバード・その備考







ブラックバード、和名:クロウタドリについて前回書いた。

今回はその備考。

ビートルズのブラックバード』はマッカートニー曰く黒人女性の解放をテーマにしているらしい。後半に挿し込まれるクロウタドリのさえずりが印象的、まるで春や夜明けを告げるかのようである。


作曲家オリヴィエ・メシアンはクロウタドリの歌声を採譜して『世の終わりの為の四重楽奏』に落とし込んだ。バイオリンがクロウタドリの囀りを再現している。

世の終わりなどとは物騒であるが、どうやらこれはカタストロフと言うよりは歓びに満ちた神の国の到来を指しているように思える。


ともあれ解放を謳ったり、世の終わりを先導したりとクロウタドリも忙しい。
人はクロウタドリの歌声にいったい何を感じいるのだろうか。



デビッド・ボウイの『ベルベット・ゴールドマイン』にも曲の最後、鳥の声が現れる。
特にクレジットがある訳ではないものの、やはりこの歌声もクロウタドリのように思われる。

『ベルベット・ゴールドマイン』は退廃的で、背徳的で、艶かしい肉感的な曲だ。

『世の終わりの為の四重楽奏』が天国志向ならば、『ベルベット・ゴールドマイン』は悪魔=地獄志向とも言えそうだ。


天国にも地獄にも現れる、クロウタドリって、いったいなんなのだろう。


コラン・ド・プランシーによる有名な『地獄の辞典』によると、カイムという悪魔がいるらしく、クロウタドリの姿で、もしくは鳥の着ぐるみを着て現れるとか。












ナイスな奴だ。
悪魔に魂を売り渡すならこんな奴がいい。

さて、見た目の愛嬌とは裏腹に、なんでも悪魔の中で一番弁が立つ存在らしく、かの宗教家マルティン・ルターを論争で苦しめたという逸話も残っている。


現在は悪魔の総裁を務めるカイムももとは天使だったと言うから、ナルホド、多くの音楽家に霊感を与えてきたクロウタドリの正体はコイツなのではと勘ぐりつつマザーグースを紹介しよう。


イギリスのマザーグース(童謡)のうちでも人気があるとされる『6ペンスの歌』の主役は24羽のクロウタドリである。

6ペンスの唄を歌おう♪
ポケットにはライ麦がいっぱい♪
24羽のクロウタドリ♪
パイの中で焼き込められた♪

(以下略)


歌詞内容はまるで意味不明、まるで暗号のようである。
その意味を巡ってはさまざまな解釈があるようだが、クロウタドリが悪魔による罰を表しているという説もあるらしい。

こんなところにもカイムの影が

とまれクロウタドリの正体が悪魔か天使か知らぬが、人々の感性に多大な影響を及ぼしてきたのは確かなようだ。

友との和解をブラックバードに例えてみたり、僕もまたクロウタドリに魅せられた一人に相違ない。










2019年10月30日水曜日

ブラックバード





船頭を雇って1日ボートツアーを楽しんでいた時だ。


オオバンケン、
カワリサンコウチョウ、
キタタキ、
チャイロオナガ、
コウライウグイス、
オオカワセミ、

その他たくさん

今でもインド南部の街アレッピーの水路を思うと僕はうっとりしてしまう。
景観もさることながら、なんと野鳥が豊富だったことか。

その日だけでもたいへん多くの鳥を観察できた。
なかでもとりわけ僥倖だったのがクロウタドリとの出逢いである。

ヨーロッパではさして珍しくない鳥であろうが、
お目にかかるのは初めてだった。

ビートルズに『Black Bird』という曲があるが、
あれはクロウタドリのことである。

見てみたかった鳥なので当然ヤッターと思った。
それからK君を思ってエヘンと自慢する気持ちになって、それから少し寂しくなった。

彼とは学生時代からの親友だったが、ちょっとした齟齬がもとで友情が途絶えていたのだ。

『Black Bird』が好きで、それがこうじてクロウタドリも好きなやつだった。

自慢してやりたいのに自慢する相手がいないのはつまらない。



嬉しいことがあると直ぐ彼に報告していた。
トラブルさえなければクロウタドリを見たことも真っ先に報告していただろう。
けれども上記のように報告と自慢は紙一重である。

思うに、友情に甘えていたフシがあるのではないか。



『Black Bird』は夜の闇の中を折れた翼で、それでも光を目指して飛ぼうとする鳥の歌だ。

僕の場合、友だちを失ったからといって、そこまで悲壮にはならない。
心にしこりを残しつつも比較的淡々としていられる。

けれども歌詞にある通り、“その時が来るのを待っていた”ところはあるだろう。


10年ぶりくらいか。
この度、K君との関係を修復することが出来た。
と言っても、僕はなにもしていない。待ってただけだ。

働きかけてくれた彼の勇気に感謝したい。
実はスゲー嬉しい。



お互い環境の変化なども色々あったろう。
積もる話をゆっくり分かち合っていければと思う。
クロウタドリのことも話したい

 なぜって、クロウタドリは春を知らせてくれる鳥なのだから。



僕らのあいだの雪も解けた。
僕らは結局、ジョンとポールのようなものなのだと、
今はキザにまとめておこう。






















2019年10月28日月曜日

Don’t Think Twice






湿った別れは好きじゃない。

どうせオサラバするなら笑えるくらい愉快で滑稽なほうがいい。

泣いて別れを惜しむより、笑ってアバヨと逃げ去りたい。

Dont Think Twice 

直訳すると“2度考えるな”だが、慣用的には“クヨクヨするな”という意味合いになるそうだ。

Don’t Think Twice.It’s Alright 』は別れを歌ったボブ・ディランの曲である。

“クヨクヨするな。これでいいんだよ”

一説によるとこの曲は恋人との別れに見立てながら本当はそれまでの自分との決別を歌ったものだともいう。

僕も常に自分を刷新したいせいだろうか、この曲を聴くとグッと感極まって泣きそうになるのだが、この歌のメッセージは“Dont Think Twice”、“クヨクヨするな”だ。

やはりハチャメチャなくらい陽気で明るい方がいい。

そのせいか僕はボブ・ドローによるカヴァー曲の方がさらに好きである。






サヨナラに際して男の繊細さや未練が透けて見えるディランの歌に対してドローの歌う『Don’t Think Twice』は“この人ふざけてるのかな?”というくらい陽気で軽快なのだが、そこがなんとも言えず粋でチャーミングなのだ。

(クラリスの心を盗んで逃げていくルパン三世のようと言えば分かりやすいだろうか?)


別れにメソメソしたくない。笑って“アバヨ!”とお道化たい。

これから先、自分を棄てねばならないことや辛い別れなどもあるだろうが、そんな時にはドローの歌を頼りに僕は“オサラバ”洒落込もうと思うのであった。





ボブ・ドローが昨年死去したことをただ今知った。
享年94歳。

Dont think twice』を個人的な葬送曲として手向けよう。















2019年10月17日木曜日

喋っちゃいけない訳じゃない




当店もオープンして3年が経ちました。
その間一度も顔を見せない友人知人も沢山いますが
まさかそれを非難するわけにはいきません。

店の利用なんてものは一寸したタイミングと切っ掛けだったりしますし、
僕だって顔を出していない場所が沢山あります。

ただし、いちおう是正したいのが たまに言われる
「だってヒマダコーヒーって喋っちゃいけないんでしょ?」という誤解です。

実際、店内ではお閑かにとお願いしております。
賑やかなお喋り向けの店ではないのですが
しかし決して喋っちゃいけない訳ではありません。

本当は存分にご談笑いただければ良いのですが、
残念ながらヒマダコーヒーは店舗が狭く、声がよく響く空間となっております。

もし誰かのお喋りによって、他のお客さまがウルサイなぁと思ってしまったら、
それはとても悲しいことです。

本を読みに来たのに、ゆっくり考えごとをしに来たのに、
ほっとひと息つきに来たのに、
他所の声がうるさくてそれが台無しになってしまうなんて、
そんなことはあってはなりません。

閑かに過ごしていただくという約束は、皆が落ち着いて過ごせるよう、
最大公約数的な “良い時間” を求めた結果のお願いです。

どうか周囲への配慮をお忘れなきよう、
他の方の安寧にこころを配りつつ、ご歓談いただければと思います。

(それに閑かにするって、気持ちが良いでしょう?)

決して喋っちゃいけない訳ではありません。
店主もお客さまとお話しするのが大好きです。

ゆっくり、言葉を噛み締めながら、豊かな会話を楽しみましょう。


和敬清寂

皆がお互いをリスペクトし合い、清らかな良い場が作れたら素敵です。
また僭越ながら、それこそが店主の夢なのです。
















2019年10月16日水曜日

パタゴニアのトート






パタゴニアのブラックホール生地のトートバッグ。

(写真は旧モデル)

軽量で頑丈。防水。
生地に張りがあるので物も収納しやすい。
加水分解も起きにくそうだ。

旅行用のサブバッグとしては少し嵩張るけれど、
毎日の買い物や海でのレジャーなどには凄くいい。

ご覧の通り、10kgを容れても平気なヘビーデューティ。

もともと息子が生まれた時に
お出かけ用として買ったもの。

でもそれって、こういう意味じゃないんだけど

ともあれ息子も気に入っている様子。
ブランコとしても便利らしい。





お休みと開店遅延のお知らせ。





ヒマダコーヒー
10/17(木)の coffee & quiet はお休みとさせて頂きます。

また仕出しのため10/18(金)、19(土)の開店時間が少し遅れるかもしれません。
詳細はまたご報告いたします。


2019年10月11日金曜日

大事なことは、たちつてと





まだ少し早いけど、
息子に読み聞かせようと
実家から持ち帰った
ぐりとぐら何冊かです。

小難しい本も読まなくはないけれど、
どんな文豪や哲学者より
僕がいちばん尊敬するのは
野ねずみのふたごの兄弟
ぐりとぐらです。


久しぶりに声に出して読んでみて、
はからずも初心というものを取り戻しました。
知らぬ間に忘れていたようです。

残念ながらもやはり、
1歳児の関心を引くことは出来ませんでしたが…



たいせつなもの
ちず
つめきり
てぶくろ
とけい


これはどんな箴言や名シーンも及ばない。
僕がいちばん好きなページです。