近ごろ、墓参りが好きである。
祖父を偲んでとか、
先祖供養…というだけでなく、
純粋に気持ちがいいからだ。
新馬場は、品川駅から各駅停車で二駅。
都心に近い割にはどこか長閑な、
古い宿場町の趣きを残す町だ。
また寺町でもあり、やたらと寺が多い。
うちの菩提寺もそのうちの一つとなる。
活気ある商店街。
その一角には易者さんが座っていたり、
町の名物おじさんなのだろうか、
なんと、寅さんの格好をした男性が歩いていたり…
義理人情の時代にトリップしたような
そんな感覚を覚えてしまう。
また整然とした歴史ある菩提寺も心地がいい。
境内には季節の花が揺れる。
特に僕が好きなのは百日紅の花咲く頃だ。
その一画だけ建物が低いせいだろう、
寺では空が広く感じられるから面白い。
簡単に墓を清め、線香を灯し手を合わせる。
これも猥雑な毎日のうちに設らえられる、
ちょっとした瞑想になる。
近ごろ墓参りが気持ちいい。
東京に用がある時は
時間の許す限り、立ち寄りたいと思う。
供養もできて、寄り道できて、散歩もできる。
なんとも愉しい気分転換だ。
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